
目次
はじめに
この記事は、動画「Modern functional programming with Clojure - YouTube」をまとめたものです。
概要
Thoughtworks のクライアントプリンシパルである Mark Kramer 氏が Ward 氏と Naveen 氏との会話を基に、関数型プログラミング言語である Clojure の主要なテーマと重要なアイデア、事実についてまとめたものである。Clojure の基本概念、利点、実用性、そして学習方法に触れている。
主要なテーマと重要なアイデア
- プログラミングを大きな問題を小さな問題に分解し、それらを構成することとして捉える。
- 非常に数学的な基礎を持ち、小さな部品が最終的に構成可能であることを数学的に証明または検証できる(ラムダ計算や圏論など)。
宣言的なアプローチ:
- 何をしたいか(what)に焦点を当て、どのように(how)行うかは言語やツールに任せる考え方である。これは、手続き型言語(例:Basic)が「こうして、次にこうして…」とステップを記述するのに対し、SQL が「こういうデータが欲しい」と記述するのに似ている。Clojure はこの宣言的な考え方を強調している。
学習の価値
2. 不変性 (Immutability)
不変性とは
- データ構造は一度作成されると変更されない。変更が必要な場合は、元のデータ構造を変えるのではなく、新しいデータ構造を作成する。
不変性の利点
- 並行処理とスケーラビリティ:可変なデータは特に複数のスレッドが同時にアクセスする場合にバグの原因となりやすい。不変性はデータが変更されないことを保証するため、並行処理における多くの問題を解消する。あるスレッドが値を読み取り、別のスレッドが同時にその値を変更しても、読み取ったスレッドは常に安定した値を見る。
- 可変な状態に起因するバグ(例:予期せぬ状態変更)のデバッグ時間を削減できる。
実装と効率性
- 過去には大きなデータセットの不変性がメモリや計算能力のコスト高を引き起こしたが、現代の技術(安価なストレージ、マルチコア CPU)により大きな問題ではなくなった。Clojure は不変性を効率的に実現するために、多くの工夫を施し、変更された部分のみをコピーしてパフォーマンスを最適化している。
明示的な可変性 (Atoms)
- 特定のユースケースで可変性が必要な場合、Clojure には Atom と呼ばれる構造が用意されている。これは不変性の安全機能を適用した可変性を提供し、可変性を明示的に宣言する必要がある。Atom の swap 操作などには、複数のスレッドが同時に更新しようとした場合の競合回避メカニズムが組み込まれている。
フロントエンド開発
ライブラリ
- Clojure には良好なエコシステムがあり、必要なライブラリを見つけやすい。Clojure コミュニティは各ライブラリが「一つのことだけをうまくやる」という Unix の哲学を重視し、Java などに見られる多機能なフレームワークよりも、小さな専門的なライブラリを組み合わせるアプローチを取っている。
パフォーマンス
- JVM 上で動作するため、基本的なパフォーマンスは JVM の性能に依存する。数値計算などマシンのパワーを最大限に引き出す必要がある場合は、C など他の低レベル言語が適している場合がある。しかし Clojure は必要に応じて Java コードに直接アクセス可能である。
4. 開発体験と生産性
REPL (Read-Eval-Print Loop)
- Clojure 開発の強力な側面に REPL がある。コードを記述し、それをすぐに実行して結果を確認できる。これは開発中にコードを実験したりテストしたりするのに非常に便利である。
生産性
- Clojure では設計やビジネス要件の洗練に多くの時間を費やし、実際のコード記述は比較的少なくなる傾向がある。これは言語の表現力と宣言的アプローチによるもので、「何も削除するものがなくなったときにコードは完成する」という考え方に通じる。
可読性
- Perl のように一行で非常に複雑な処理を行うことも可能だが、Clojure は可読性を損なわないよう設計され、多くの関数が明確な名前を持つ。filter や reduce のような関数は操作の内容を英語のように表現できる。
- Map 関数でリストの各要素に操作を適用し、Reduce 関数でその結果を結合・集計するという MapReduce の考え方を、Clojure では非常に簡潔に表現できる。
(reduce + (map #(* 2 %) numbers))
5. 学習曲線と始め方
学習曲線
- Clojure の学習曲線はバックグラウンドに依存する。他の JVM 言語の経験者はエコシステムに慣れているため比較的スムーズに移行可能である。オブジェクト指向言語からの移行者は関数型プログラミングの考え方(特に不変性)に慣れるのに時間がかかる場合がある。最初の1週間で基本的な構文に慣れ、生産的になることは可能だが、関数型の考え方を深く理解するには数ヶ月かかることもある。
始め方
- チュートリアルを行う。
- Project Euler や Exercism のようなウェブサイトでプログラミング演習を解く。Exercism はメンターからのフィードバックも得られるため推奨される。
- 4Clojure のようなサイトで構文に慣れる。
- Clojure のコアライブラリ関数のドキュメントを読む。
- Clojure は素晴らしい言語であり、Java エコシステムを利用できるため導入のリスクは低いと言える。
- 非常に実用的でプラグマティックな言語であり、学術的な理論よりも実際のプロダクト開発に焦点を当てている。
重要な引用句 (Quotes)
- 「Clojure は、学術的な機能的なアイデアを、非常に汎用的で汎用的な目標と組み合わせている。つまり、Java 標準ソフトウェア上で実行され、多くの通常のビジネス状況で使用できる。そして、それが本当にユニークな点だと思う。」
- 「Clojure や他の関数型言語について本当に好きな興味深い点の1つは、本質的には、プログラミング言語は構成に関するものだと考えていることだ。」
- 「Clojure のような言語を使用することで、別の考え方で自分自身を訓練できる。」
- 「Clojure では、何を得たいかについて much more thinking about、そしてどのようにそこに着くかについて not so much thinking about いる。」
- 「そして不変性は、非常に危険でバグの多いコードのレシピのように思われるこのものに対する解決策のように思われる。」
- 「Clojure の場合は、この不変性のおかげで、変更を just look at the change でき、変更を書き戻すスレッドは、値がまだ同じであるかどうかをチェックする。同じでない場合は、最新の値に変更を再適用するだけだ。」
- 「これは、何かを試したいだけなら、ユニットテストを実行する必要がない because you can just try out stuff if it's just unit tests なので、言語やその背後にあるライブラリをよりよく理解する方法だ。」
- 「コードは、書き残すものがなくなったときに ready ではなく、削除するものがなくなったときに ready だ。」(引用が不正確である可能性あり)
- 「Clojure は非常に実用的でプラグマティックな言語であり、ハスケルや他のプログラミング言語のような圏論やラムダ計算に深く掘り下げることはない。」
結論